ケナガネズミの幼獣と成獣
夜の森を散策してきました。2時間ほどでケナガネズミを5頭(成獣4・幼獣1)観察することができました。ケナガネズミは日本最大のネズミの仲間で尾を除いて30センチほどですが、夜間に主に樹上で活動することから、見かける機会はそう多くありません。この日見つけた幼獣は、シマウリカエデの実を食べていました。
幼獣は灰色の柔らかい毛に覆われていて、次第に成獣の茶色っぽい毛に生え変わっていきます。この個体は産まれて間もないようで、全体が幼獣の毛のままでした。
100mほど離れたところには、同じ木に2頭の成獣がいましたが、突然カメラの調子が悪くなったため、気持ちを切り替えて観察に徹しました。木から電線へ移り、道路の反対側の森の中へと消えていきました。奄美大島では、電線を歩くケナガネズミを頻繁に見かけます。だいぶ平地まで下ってきたところには、地面に落ちた木の実を食べている成獣がいました。
上の幼獣の写真と見比べていただけると、毛の違いがはっきりとわかると思います。ケナガネズミは国の天然記念物(文化庁)及び国内希少野生動植物種(環境省)に指定されるとともに、環境省レッドリスト2020では絶滅危惧ⅠB類(EN)という2番目にランクの高い部類に選定されています。奄美大島以外にも、徳之島と沖縄島北部に分布していますが、私の経験則的に言えば、奄美大島での観察頻度が最も高く、年間を通して安定的に観察することができます。