ケナガネズミの幼獣
先日、アマミノクロウサギの幼獣を紹介しましたが、ちょうど同じ頃にケナガネズミの幼獣も観察することができます。
ケナガネズミは国の天然記念物及び国内希少野生動植物種に指定され、環境省レッドリスト2020では絶滅危惧ⅠB類(EN)に選定されています。
奄美大島・徳之島・沖縄島北部だけに分布する日本最大のネズミの仲間で、頭部から尾の付け根までは22~33センチです。
基本的に単独行動をするケナガネズミは、秋頃から繁殖期に入り、その頃から冬頃にかけて言葉では言い表せないような甲高い鳴き声を発します。今年はドングリが不作だったこともあり、幼獣を観察するのは難しいかな~と思っていましたが、比較的観察する機会が多いです。
成獣と幼獣は毛の色が異なり、成獣は明るい褐色、幼獣は灰色です。幼獣の毛は、成獣よりも柔らかい感じがして、成長するにしたがって灰色の柔らかい毛は抜け落ち、尾の付近だけ幼獣の毛が残ります。
奄美大島は、徳之島及び沖縄島北部よりもケナガネズミを観察する頻度が高いように感じます。夜間に主に樹上で活動するため、観察難易度は高めですが、最近では集落周辺の道路や、山の麓に位置する学校の校庭などで観察されています。希少種でありながら、身近な場所で観察できることが、奄美大島の自然の魅力の一つではないでしょうか。