冬に観察できる赤い実

　12月12日の記事で、冬に観察できる色とりどりの実を紹介しました。
　記事に使用する写真を選定していく中で、冬には赤い実をつけることが多いことに気づきました。
　今回は、前回紹介したマンリョウ以外の「赤色」の実をまとめて紹介します。

　林道脇などでみられるイイギリ。
　冬になると、赤い実をたくさんつけるので、ひときわ目立ちます。
　動物にとって美味ではないらしく、春頃まで残っていることがほとんどです。
　イイギリの実が鳥に食べられる年は、冬のエサ資源が少ない証拠ともいえます。

　クマタケラン・ゲットウとともに「サネン」と呼ばれるアオノクマタケラン。
　サネンの葉は、よもぎ餅などを包む材料として利用されます。
　梅雨頃に花を咲かせ、秋から冬にかけて赤い実をつけます。

　集落周辺などの身近な場所でもみられるサネカズラ。
　実は男性の整髪用に使用されていたことから、ビナンカズラ（美男葛）という別名もあります。
　夏頃に花を咲かせ、秋から冬頃にかけて黄緑色から赤色に変えながら、長い間実を観察することができます。

　森の中に入ると、マンリョウの仲間のツルコウジも赤い実をつけ始める頃です。
　地面を匍匐しながら生長する様子は草のようにも見えますが、低木に分類されます。
　また、赤い実をつける植物は、千両・万両などと呼ばれることがありますが、本種はつける実の数が少ないからか、一両と呼ばれることがあります。

　環境省レッドリスト2020で絶滅危惧Ⅱ類（VU）に選定されているオオシマガマズミも赤い実をつけます。
　奄美大島と徳之島の固有種で、比較的標高の高い山地で、まれに観察することができます。

　同じく山地では、リュウキュウミヤマシキミの実も観察できます。
　他の実よりも一回り大きな実をつけます。

　植物を観察するようになってから、早３年が経過しました。最近は葉や実を見て識別できるように訓練中です。